製造業の設計部門にとって、機械設計外注=機密図面を外部に預ける行為には、大きな不安がつきまといます。
– 海外の設計会社にCADデータを共有しても本当に安全?
– 情報漏洩や不正流出はどう防げるの?
– そもそも、どんなセキュリティ対策が取られているべき?
この記事では、海外設計アウトソーシング時に企業が取るべきセキュリティ対策を、実例とともにわかりやすく解説します。
なぜ図面データのセキュリティが重要視されるのか?
設計図面には、以下のような製造・製品開発の中核情報が含まれています:
- 製品の内部構造と組立工程
- 独自技術やノウハウに基づく機構設計
- 顧客からの受託情報・仕様書
これらのデータが流出した場合、技術盗用・知的財産侵害・契約違反など、企業に多大な損害を与える可能性があります。
図面外注時に考慮すべき3つのセキュリティリスク
リスク項目 |
概要と背景 |
① 不正アクセス |
セキュリティ設定の甘い共有環境では、外部からの侵入やデータ窃取のリスクが高まる |
② 無断保存・複製 | 外注先が業務外で設計データをコピー、別案件に流用する可能性 |
③ 意図しない情報漏洩 | 誤って他の取引先にデータを送付するなど、ヒューマンエラーによる漏洩も |
海外設計会社と連携する際のセキュリティ対策
1.通信はVPN+暗号化で保護
ファイルのやり取りはVPN環境を使い、SSL/TLSで暗号化
クラウドサービスもユーザー権限設定+IP制限をかけるのが基本
2.アクセス管理とログ記録の徹底
プロジェクト別にフォルダを分離し、閲覧・編集・出力制限を細かく設定
誰がどのファイルにいつアクセスしたかをログで記録・監視
3.バージョン管理・バックアップ体制を確立
古い図面との混同を防ぐため、クラウドCADまたはPDM(設計データ管理システム)を併用
万が一の障害時にも復旧できるよう、自動バックアップを導入
事例:IDEAのCADセキュリティ運用体制
日本企業との長年の設計支援実績を持つIDEAでは、次のようなセキュリティ基準を導入しています:
- VPN経由の図面受信+社内サーバー管理
- USB・私物デバイスでのデータ利用を全面禁止
- 設計データへのアクセスはプロジェクト単位で制限
- 日本語の設計指示書・検図履歴の保管と再現性確保
これにより、「海外だから不安」という声を実質ゼロに近づけています。
セキュリティと設計効率、どちらもあきらめないために
CADデータのセキュリティは、コストや効率に勝るとも劣らない「信頼の基盤」です。 実際、セキュリティを強化することで、
- 設計変更履歴が明確に管理される
- データ紛失・誤納品のリスクが減る
- 海外設計先との連携精度が高まり、プロジェクトの再現性と品質が向上します。
よくある質問(FAQ)
Q1:クラウド型のCADは危険ではないの?
→ 主要ツールはすべて暗号化通信と多要素認証を備えており、安全に運用できます。
Q2:図面を送るときはどうすれば?
→ ZIP+パスワードでは不十分。VPNまたはクラウドストレージ(限定共有)がおすすめです。
Q3:契約書だけで安心できる?
→ NDA(秘密保持契約)は重要ですが、それだけでは不十分。技術的・運用的な対策も必須です。
まとめ|「図面外注=リスク」ではない、信頼がつくる設計連携へ
海外に図面を預けることは、もはや珍しい選択肢ではありません。しかし、「安いから」ではなく、「信頼できる体制があるから」という理由で選ぶことが、欠かせません。 IDEAでは、日本品質の設計技術とセキュアな運用体制を武器に、貴社の製品開発を安全かつ効率的に支援します。 セキュリティ体制の詳細や運用実例に関しては、お問い合わせページからお気軽にご相談ください。