JIS図面とTCVN図面の比較は、国際的な環境で業務を行う機械分野において非常に重要です。技術図面は、設計エンジニアと加工現場をつなぐ「共通言語」としての役割を果たしますが、その表現方法は国ごとに異なります。日本では JIS(Japanese Industrial Standards) が採用され、ベトナムでは TCVN(ISO体系や旧ソ連/欧州規格に基づく標準) が一般的です。両者の最大の違いは、投影法(Projection Method) にあり、これは図面の読み方・理解の仕方を大きく左右します。
1. 投影法:第一角法と第三角法の違い
項目 |
ベトナム(TCVN – 第一角法) |
日本(JIS – 第三角法) |
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図面上の記号 | ![]() |
![]() |
物体の位置 |
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投影の原理 | 物体を透過して投影面に投影
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観察者から投影面に直接投影 |
平面図(上面図) | ![]() 正面図の下に配置 |
![]() 正面図の上に配置 |
左側面図 |
正面図の右側に配置 |
正面図の左側に配置 |
投影面の性質 |
不透明 |
透明 |
使用地域 |
ベトナム、欧州、インド |
日本、米国、カナダ |
CADソフト対応 | ISO/ロシア規格がデフォルト | SolidWorks・AutoCADにJIS設定あり
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2. 断面図と部分拡大図
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断面図(Section View):通常の投影では表せない内部形状を表現。
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部分拡大図(Detail View):小さな領域を拡大して加工要件を明確化。
3. 空間認識と図面読解
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JIS:対象物を立方体の中に入れて、各面を展開するイメージで読解。
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TCVN:実際の視点に近い直感的な配置で理解しやすい。
いずれの目的も共通しており、2D図面から3D形状を正確に想像することにあります。

4. 実務での応用とCADソフト
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日本企業と取引する場合、JIS準拠の読図能力は必須。
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SolidWorks、AutoCAD、Inventor などのCADソフトは、第一角法・第三角法の切替に対応。
結論
日本(JIS)とベトナム(TCVN)の機械図面における最大の相違点は投影法です。これを正しく理解することで、図面の誤読や設計・加工段階でのミスを防止できます。特に国際プロジェクト、なかでも 日本との協業 では、JIS規格の習得は不可欠となります。