JIS製図規格|文字と記号の使い方と統一ルール

ニュース 9月 25, 2025

機械製図では、寸法や形状だけでなく「文字(もじ)」と「記号(きごう)」によって多くの情報が伝達されます。これらは図面の読みやすさ、正確性、国際対応力に直結する要素であり、JIS(日本産業規格)では使用方法や書体、サイズ、配置に関する詳細なルールが定められています。

本記事では、JIS規格に基づく文字と記号の基本ルール、使用例、ISOとの違い、そして実務での注意点について詳しく解説します。

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1. 図面における文字の役割

文字は、寸法値・注記・材質・公差・表面処理など、図面上の定性的・定量的情報を伝えるために使用されます。読みやすく、誤解のない表記が求められます。

JIS規格で定められた文字の基本

  • 書体:JIS Z 8317に準拠した「ゴシック体」が標準
  • サイズ:用紙サイズや図面密度に応じて2.5mm〜5mmが一般的
  • 太さ:線種とのバランスを考慮し、細線よりやや太めが望ましい
  • 配置:寸法値は寸法線の中央上部、注記は対象形状の近くに配置

CAD環境でもフォントを統一することで、図面品質が安定します。

2. 図面における記号の役割

記号は、複雑な情報を簡潔に表現するための「視覚言語」です。JISでは、各種記号の形状・意味・配置方法が定義されています。

主な記号と用途(機能別分類)

JIS製図では、記号は機能別に分類されており、以下のような代表的な記号が使用されます:

記号 意味 用途例
投影法(第三角法) 表題欄に記載必須
直径 穴や円柱の寸法(例:⌀20)
R 半径 曲面や円弧の寸法(例:R10)
M メートルねじ ねじの種類(例:M6)
S / t 板厚 材料の厚さ(例:S2.0、t1.5)
± 公差 寸法の許容範囲(例:±0.1)
Ⓛ, Ⓕ, ⓒ 幾何公差 真直度・平面度・円筒度など
⌯, ┴ 表面粗さ Ra値と併記する(例:Ra 3.2)
⧍, ⧫ 溶接記号 片側・両側溶接を示す(JIS Z 3021準拠)
これらの記号は、設計者の意図を瞬時に伝える「共通言語」として機能します。

3. 記号の配置と記入ルール

  • 寸法記号(⌀、Rなど)は寸法値の前に記載
  • 公差記号(±)は寸法値の後に記載
  • 幾何公差記号は公差枠内に記載し、基準記号とセットで使用
  • 表面粗さ記号は対象面の近くに配置し、Ra値を併記
  • 投影法記号は表題欄に必ず記載(⯈:第三角法)
  • 溶接記号は接合部の近くに配置し、方法・位置・仕上げを明示

4. JISとISOの違い(文字・記号)

項目 JIS ISO
書体 ゴシック体(JIS Z 8317) ISO 3098に準拠(類似)
記号の形状 JIS B 0001で定義 ISO 1101、ISO 1302などで定義
表記言語 日本語中心 英語中心(国際対応)
配置ルール 寸法線・注記位置が厳密 柔軟性あり(CAD環境に依存)

海外との図面交換では、記号の意味や配置が異なる場合があるため、凡例や注記で明示することが重要です。

5. 実務での注意点とチェックリスト

  • 文字サイズは図面密度に応じて調整し、視認性を確保
  • 記号の意味を誤って使うと、加工・検査ミスの原因になる
  • CADテンプレートで文字・記号のスタイルを統一する
  • 表題欄・寸法欄・注記欄で記号の配置ルールを徹底
  • 国際取引ではISO記号との互換性を確認する
  • 溶接記号や表面粗さ記号はJIS Z規格に準拠して正しく記載する

結論

文字と記号は、機械製図における「情報の言語」であり、図面の品質と信頼性を左右する重要な要素です。特にJIS規格では、寸法・形状・加工方法・材質・ねじ・板厚・溶接などを簡潔に伝えるための記号体系が整備されており、設計者の意図を瞬時に読み取れる図面づくりが可能になります。

正しい記号の使用は、設計者の意図を明確に伝えるだけでなく、加工ミスや組立不良の防止にもつながります。JIS規格に準拠した記号体系を活用することで、図面の信頼性と製造現場との連携が大きく向上します。

IDEA Groupでは、JIS規格に準拠した文字・記号の運用ルールを徹底し、図面の品質向上と設計業務の効率化を支援しています。
図面テンプレートの整備や記号運用に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

関連記事:機械設計の基礎知識|JIS規格に基づく図面の作成基準 – Idea Group

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弊社はベトナムにある機械設計請負・精密機械加工・自動化機械設備製作・ロボット/無人搬送車(AGV)研究開発・貿易の4つ事業をしている会社です。ベトナム国内の子会社は2社、日本と米国に各1社子会社を展開しています。

「迅速な対応・安価で高品質」をモットーにしています。従業員は250名で合弁企業含め420名、15年以上にわたりお客様に満足して頂く為に、品質、サービスを常に改善していく努力をする事でお客様からの高い評価を頂いております。今後は更なる展望として「お客様により貢献できる機械設計・加工・製造会社となり、また、ベトナムの産業の発展に貢献する」ことを目指していきます。

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