機械設計において、設計意図を的確に伝える技術図面は、製造現場との重要なコミュニケーションツールです。本記事では、Inventor 3D CADを用いて、明快かつ効率的な図面を作成するための基本ポイントと注意点をご紹介します。
高品質な図面を作るための基本ポイント
1. 適切な正面図を選ぶ
部品の形状、機能、加工方法が一目で伝わる視点を選びましょう。断面図を正面図に活用することで、内部構造も含めて効果的に情報を伝えることが可能です。

2. 情報は厳選して明快に
読み手の理解を妨げる不要な線や寸法は削除し、重要な寸法や形状に集中させましょう。ピッチ円径やキー溝など、設計上不可欠な情報を優先的に記載します。
3. 対称性と記号を活用して情報を簡潔に伝える
対称部品は片側のみ描き、対称マークを添えることで視覚的にすっきりした図面になります。表現を簡潔にしつつ、伝えたい情報は網羅する工夫が求められます。
図面で避けるべき主なミス
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誤った正面図の選定:視認性が悪く、部品の特徴が伝わらない視点の使用は混乱を招く可能性があります。
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情報過多:寸法や注釈を詰め込みすぎると、重要なポイントが見えづらくなります。
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規格との不整合:JISなどの設計基準に準拠した表記を徹底することが重要です。
図面作成のステップ
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視点の選定:設計の特徴が最も伝わる方向から正面図を設定。
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必要な寸法に絞る:製造・組立工程に必要な情報にフォーカス。
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補足ビューを追加:必要に応じて側面図や上面図で補完。
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注釈の配置と整合性:読み手の理解を助ける注記の論理的配置と規格準拠を確認。
まとめ
シンプルで明確、かつ標準に基づいた図面は、ミスを防ぎ、製造のスムーズな進行を支えます。Inventor 3D CADを活用することで、設計意図を正確に伝える図面の作成がより効率的に行えます。今後の記事では、これらの原則をソフト上でどのように実践するかも解説予定です。